カレンダー

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>

カテゴリー



過去ログ

争走要訣(陳?)

 陳?公の遺作の「陳氏太極拳図解(または陳氏太極拳図説)」にある非常に重要で高度、かつ難解な訣文です。
 有名ながらその難解さもあってか、紹介されることは少ないのではないかと思います。(何しろ原文には全く句読点もありませんし)
ですから、下記の訳文は当門の拳理を踏まえた上でのものですが、あくまで私個人の理解力の範囲での意訳でありけして正確な翻訳というわけではなく、参考程度のものと御理解頂けますようにお願い致します。

※前回に同じく、他会の方も御参照・御利用は全く自由です。ただし、上記のように訳文の責任は一切負えませんので御了承下さい。

争走要訣(陳?)
 <実戦の秘訣

 両人手交各懐争勝之心、彼此擠到十分九厘地位、只余一厘。
  <二人が手を交え互いに競い勝ちたい気持ちを抱き、そこで目一杯張り合って、わずかに一厘(紙一重)の余裕しかないとする。
分勝負全在此一厘地位。
 <勝負を分けるのはこの(わずか)一厘がどちらのものになるのか?に懸かっている。
彼先占据、我即失敗。
 <相手が先にそれを占めれば、即ち自分が敗れる。
我先占据、彼亦失敗。
 <自分が先にそれを占めれば、もちろん相手が敗れる。
蓋得勢不得勢全系於此、此両人俱到山窮水尽也。
 <つまり優勢劣勢は全てここに懸かっているわけで、(このままでは)この二人はともに行き詰ってしまう。

 当此際者該如之何?
  <ではこういう場合にはどうするべきなのか?
曰必先据上游!
 <曰く、まず高い意識を持て!
問如何据上游?
 <問う、高い意識を持つとは?
頂精領住中気、手略提高居於敵手之上、身略前侵逼迫彼不得勢。
 <精気を頭頂に至らせ中気(内気)をうなじに満たし、応手は相手の手の上に高く挙げ(高度な技で敵の手に乗じるということか?)、身体は前進肉迫して(圧倒して)相手を非勢に追い込むのだ。(→当門の五霊の驚弾に通じる教えです)
力貴迅発、機貴神速。
 <瞬発力を貴び、好機に素早いことが重要だ。(→当門の五霊の閃手に通じる教えです)
一遅即失敗、一迅疾即得勢。
 <ほんの僅かな遅れでも即ち失敗であり、瞬速の速さでこそ勝勢を得られるのだ。
勢得則手一前送、破竹不難矣。
 <勝勢を得れば即ち手をさらに前に進め、(もはや)破竹の勢いをとどめるものはない。

 如両人対?、棋到局残勝負在此一歩。
  <例えば囲碁の対局で、いよいよ終局というところで勝敗を決する一手のようなものだ。
又如逐鹿、惟高才捷足者先得之。
 <または、逐鹿(天下を争う政争の例え)のように、ただ敏捷な行動力の高い者が先に天下を得るように。
又如両国興兵、先奪其輜重糧草。
 <または、戦争を始める2つの国が、まず相手の軍備品や糧食を奪うように。
此皆据上游監脳之法也。
 <これらはみな高度な意識からの頭脳戦法である。

 故平素打拳、全在一起一転。
  <だから普段から、全ては「一起一転」(機敏な起動と転換)にあるということを心において錬拳することだ。
所謂得勢、争来脈、出奇在転関。
 <つまり勝勢を獲得するとは、気勢(または気勁の兆し?)を争う(察知する)ことであり、優れた技は(その気勢の)転換にある。
本勢手将起之時、必先使手如何承住上勢、不令割断神気血脈。
 <身構えてまさに起動する時は、必ずまず何らかの手を打って(相手より)優位に立ち、精神と気脈・血脈(の流動)を途切れさせないようにしなければならない。
既承接之後、必思手如何得機得勢。
 <そしていざ接触したなら、勝機と勝勢を得るにはどうすればよいのかを考える必要がある。
来脈真機勢、得転関自然霊動。
 <気勢を察知してちゃんとした勝機・勝勢を獲得すれば、ごく自然で霊活な(気勢の)転換が得られる。(→当門の五霊の抖捜・霊動に通じる教えです)

 能如此、他日与人交手、自能身先立於不敗之地、指揮如意。
  <このようにできれば、いずれ人と手を交えても、自然にわが身が先に不敗の(有利な)位置に立つようになり、思いのままだ。
来脈転関、顧可忽乎哉!
 <気勢を察知して転換すれば、もう何も心配はいらないのだ!


コメント
コメントする